大判例

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新潟地方裁判所長岡支部 事件番号不詳 決定

主文

本件請求を棄却する。

理由

本件請求の要旨は、請求人は当庁昭和二六年第六一号昭和二五年政令第三二号占領目的阻害行為処罰令(以下政令三二号という)違反被告事件について昭和二八年八月一八日免訴の判決を受け、該判決は確定したところ、請求人は、右被告事件に関し、昭和二六年五月二四日逮捕状により逮捕せられ、次いで同月二六日勾留状により勾留せられ、同年六月一八日保釈出所するまで、合計二六日間拘禁せられた。ところで、右免訴判決は政令三二五号が憲法違反であるとの理由に基くものであつて、犯罪後の法令により刑が廃止された場合と性質を異にし、本来無罪であるべきものと考えるから、刑事補償法第二五条により右抑留拘禁に対する補償を請求するというのである。

よつて按ずるに、刑事訴訟法の規定による免訴の裁判を受けた者が刑事補償を受けるには、もし免訴の裁判をすべき事由がなかつたならば、無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な理由があるときに限るのである。ところが、本件請求人に対する前記免訴の判決理由は、その被告事件における公訴事実に対する処罰法規であつた政令三二五号が昭和二七年四月二八日平和条約発効と同時に失効したから、犯罪後の法令により刑が廃止された場合に当るというにある。従つて、もし平和条約の発効という事実がなく、依然わが国が連合国の占領下にあつたとすれば、政令三二五号は有効であるというべく、しかして、請求人に対する右被告事件の公訴事実は、同事件における全証拠を綜合して認めることができるから、請求人は政令三二五号違反として有罪を免れ得なかつたものと認められるのである。

よつて請求人の本件請求は失当であるから、刑事補償法第二五条第一号に則り、主文のとおり決定する。

(裁判官 荒井重与)

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